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変位とは何ですか?
運動の解析は複雑なものです。正確な語彙を学ぶことでその理解の助けになります。
位置とはどういう意味ですか?
物理学では,私たちはある物体の運動を正確に記述するのが大好きです。真面目な話,普通のどんな物理学の教科書でも最初の 2 〜 3 章は運動を正確に記述するにはどうするかを考えることに専念しています。なぜならそれは私たちが物理学でするその他のことに比べても,とても重要だからです。
しかしある物体の動作を記述するためには,私たちはまずその位置 - ある何か特定の時間においてそれがどこにあるかを示すもの - をきちんと記述することができないといけません。より正確に言うと,私たちはその位置というものをある参照フレームについて相対的に指定する必要があります。地球はこの参照フレームとしてしばしば使われます。私たちはしばしばある物体の位置をこの参照フレーム中にある何か静止した物体に対する相対的なものとして,位置を記述します。(注: これは地球上で静止している何かの物体を基準に位置を示すことが多いということを正確に言おうとして難しくなっているだけです。) たとえば,ある物理学の教授の位置は,彼女がどれだけ黒板の近くにいるかという関係を使って記述されるでしょう (図 1)。他の場合には,私たちは地球に対して運動しているような,静止していない参照フレームを使うこともあります。たとえば,私たちは地球ではなく,飛行機を参照フレームとして使うことがあります (図 2)。
変数 はしばしば水平方向の位置を表すものとして使われます。変数 はしばしば垂直方向の位置を表すものとして使われます。
変位とはどういう意味ですか?
もしある物体がある参照フレームに対して相対的に動く―たとえば,もしある教授が黒板に対して右に動く,または,ある飛行機の旅客が飛行機の後ろの方向に動く―と,物体の位置が変わります。この位置の変化のことを変位と言います。変位という言葉は,物体の位置が変わったことを表します。
変位とはある物体の位置の変化として定義されます。それは数学的に次のような等式で定義されます:
変位はベクトルです。これは変位が大きさだけではなく,方向も持っていることを意味します。そして変位は初期位置から始まり,最終位置を指す矢印として目に見えるように表されます。たとえば,図 1 にあるようにこの教授が黒板を基準にして歩くことを考えてみましょう。
図 1: ある教授が授業の間に左から右へ歩く様子。黒板に対する教授の
この教授の初期位置は であり,彼女の最終位置は です。したがって,彼女の変位は次のように求まります。
この座標系では,右方向への動きは正,左方向への動きは負となっています。
では次は,図 2 にあるように,飛行機に相対して歩く旅客を考えてみましょう。
図 2: ある旅客が彼の席からこの飛行機の後ろの方向に向かって動く様子。飛行機に対する旅客の変位 は飛行機の後方に向かう矢印で表されている。(画像のクレジット: Openstax College Physics)
飛行機のこの旅客の初期位置は です。そして彼の最終位置は です。すると彼の変位は次のようにして求めることができます。 。
彼の変位は負です。なぜなら彼の動きはこの飛行機の後ろの方に向かっているからです。あるいはここでの座標系では彼の動きが x の負の方向に向いているからとも言えるでしょう。
1 次元の運動では,運動の方向をプラスまたはマイナスの符号で指定することができます。あなたが問題を解く時には,まずはどの方向が正なのかを選ぶべきです。普通右か上を正の方向にします。しかし,あなたが正の方向をどの方向に選ぶかはあなたの自由です。
距離と移動距離とはどういう意味ですか?
「距離」という言葉を使う時には注意をしなくてはいけません。なぜなら物理学では距離という用語を 2 つの意味で使うからです。私たちは 2 点間の距離,または物体の移動距離について話をします。
距離は 2 点間の変位の大きさとして定義されます。2 点間の距離はそれらの間の移動距離とは違うことを注意して下さい。
移動距離とは 2 点間の移動の道筋の全長のことです。移動距離はベクトルではありません。それは方向を持ちません。したがって,負にはなりません。たとえば,この教授の歩いた距離は です。この飛行機の旅客の歩いた距離は です。
移動距離は変位の大きさ (2 点間の距離) とは等しい必要がないことに注意することは重要です。特に,もしある物体が 2 点間を移動する時に,その移動の方向を変化させる場合,全体の移動距離は同じ 2 点間の変位の大きさよりも大きくなります。これについての詳しいことは以下の解説付きの例題をごらん下さい。
変位について混乱することは何ですか?
人々は移動距離が変位の大きさよりも大きくなることがあることを忘れがちです。大きさというのは,ここでは方向に関係しない変位の大きさ (例,ある単位を持った単なる数) のことです。たとえば,この教授は講義の間に黒板の前を何度もいったりきたりして,たぶん,150 メートルの距離を動くということもできるでしょう。それでもまだ彼女は初期位置から 2 メートルだけ右で講義を終わることもあります。この場合,彼女の変位は で,変位の大きさは です。しかし,彼女の移動距離は になるでしょう。運動学では私たちはほとんどいつも変位と変位の大きさについて考え,移動距離についてはほとんど考えません。これについて考える 1 つの方法はある運動の始めと終わりに印をつけたと仮定することです。この時の変位は単純に2 つの印の位置の間の差であり,2 つの印の間を移動した時の経路とは関係がありません。しかしながら,移動距離はこれら 2 つの印の間を動いた経路の全体の長さになります。
人々は必要な時でも変位のマイナスの符号を忘れがちです。これは差をとる時に最終位置から初期位置をひかずに,間違って初期位置から最終位置をひいてしまった時などに時々起きます。
変位を含んだ解説付きの例題とはどんなものですか?
例題 1: 4 個の移動する物体の変位
以下のダイアグラムでは,4 個の物体がある経路にそって動いています。水平方向の目盛りはメートルの単位を持つと仮定します。(画像のクレジット:Openstax College Physics からの画像に改変を加えたもの)
それぞれの物体の変位は何ですか?
物体 A は初期位置が で,最終位置が の場所です。物体 A の変位は次の等式で表されます:
物体 B は初期位置が で,最終位置が の場所です。物体 B の変位は次の等式で表されます:
物体 C は初期位置が で,最終位置が の場所です。物体 C の変位は次の等式で表されます:
物体 D は初期位置が で,最終位置が の場所です。物体 D の変位は次の等式で表されます:
例題 2: 4 個の移動する物体の移動距離
以下のダイアグラムでは,4 個の物体がある経路にそって動いています。水平方向の目盛りはメートルの単位を持つと仮定します。(画像のクレジット:Openstax College Physics からの画像に改変を加えたもの)
それぞれの物体の総移動距離は何ですか?
物体 A は の総移動距離を移動します。
物体 B は の総移動距離を移動します。
物体 C は の総移動距離を移動します。
物体 D は の総移動距離を移動します。